第8回N-Pネットワーク研究会

2016年9月6日(火) @ 横浜国際ホテル

『認知症臨床における医師の役割、を改めて考えてみる』

医療法人三精会・汐入メンタルクリニック阿瀬川 孝治先生

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超高齢化社会、認知症急増時代を迎えて、医師、特に専門医への期待は高まるばかりです。新オレンジプランにも「認知症に関する専門医、認定医等の養成の拡充に関係学会等と協力して取り組む」としっかり明記されています。今回、医師、専門医の役割について、

1)地域への関わり
2)診療の質の維持向上
3)未来への貢献

という側面で考えてみたいと思います。
認知症診療にあたって地域とのかかわりは不可避です。では、実際にはどのように関わっているか。

①診療&地域連携(これは通常の診療の範囲です)
②多職種チームの司令塔として(院内チーム、認知症初期集中支援チームの一員、ケア会議 等)
③人材育成(医療・介護・福祉の多職種 等)
④地域での施策の企画・運用

という4点に分類できます

③人材育成、④施策の企画・運用など、マネジメント的な関わりにおいてはmatrix model(マス目モデル)が有用と考えています。 Matrixを用いるのは、アウトカムに向けて、何をすればいいか、が見つけやすいからです。

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患者に対する責任として、自分たちの「診療の質」を少しでも維持向上することも大切です。認知症高齢者を一人一人長く診ていると、その多様さに驚き、当初の診断が正しかったのか、悩むことが少なくないです。高齢発症、精神症状が前景化した症例において、症状が多彩もしくは非定型で、診断を保留せざるを得ないこともあります。
認知機能低下はあるが、元気に歩いている方もいれば、認知症がある程度進んでから、幻視、視覚認知機能障害が目立ってくる方、途中から動作緩慢、歩行障害が前景化してくる方・・・など。進行期にある認知症高齢者にも関心を持ち続けることが重要なことは言うまでもありません。神経病理、複合病理の考え方は、その一助になると考えています。
最後に、未来への貢献として、現在進めている認知症(AD)に対する新薬の治験について紹介します。小さな診療所でも、外部の医療機関と連携・協働することで、認知症の先端的な臨床試験も可能です。

【世話人会(敬称略、五十音順)】

代表世話人
・内門 大丈
・馬場 康彦
副代表世話人
・井上 祥
・水間 敦士

【顧問(敬称略、五十音順)】

・小阪 憲司(横浜市立大学 名誉教授)
・繁田 雅弘(首都大学東京 健康福祉学部 作業療法学科 教授)
・瀧澤 俊也(東海大学医学部 内科学系神経内科学 主任教授)
・平安 良雄(横浜市立大学 精神医学 主任教授)
・水間 正澄(昭和大学 名誉教授)
・村山 繁雄(東京都健康長寿医療センター 神経内科 部長)

【N-P ネットワーク研究会 2016summer 共催会社】

・エーザイ(株)