第36回N-Pネットワーク研究会

2023年9月5日(火)19:00 ー 20:20 形式:WEB開催

特別講演I

座長:メモリーケアクリニック湘南 理事⻑・院⻑、横浜市立大学医学部 臨床教授 内門 大丈 先生


前駆期レビー小体型認知症の臨床像

小林 良太 先生

山形大学医学部精神医学講座 准教授

第36回N-Pネットワーク研究会

レビー小体型認知症(Dementia with Lewy bodies: DLB)は、認知機能の変動や幻視、特発性のパーキンソニズム、レム睡眠行動異常(Rapid eye movement sleep behavior disorder: RBD)を中核的特徴とする、アルツハイマー型認知病(Alzheimer’s disease: AD)に次いで多い神経変性疾患である。 DLBでは、記憶障害が出現する前からRBDやうつ、嗅覚鈍麻、便秘などが出現することが知られ、2020年に前駆期DLBの研究用の診断基準が提唱された。その診断基準では、軽度認知障害(Mild cognitive impairment: MCI)から発症するタイプ(MCI-Lewy bodies: MCI-LB)、せん妄から発症するタイプ(Delirium-onset DLB)、そして、精神疾患として発症してくるタイプ(Psychiatric-onset DLB)の3つのサブタイプが提案され、前駆期からDLBを診断する試みが盛んに行われている。
本講演では、前駆期DLBの知見と臨床像について、自験例を交えながらご紹介し、実際の診断や、電気けいれん療法や薬剤過敏性、薬物がDLBの画像バイオマーカーに及ぼす影響など、診療の注意点について議論を展開したい。

特別講演II

座長:昭和大学藤が丘病院 脳神経内科 准教授 馬場 康彦 先生


遅発性ジスキネジアを引き起こす精神疾患と治療

木代 眞樹 先生

医療法人社団聖眞会 きしろメンタルクリニック 院長

第36回N-Pネットワーク研究会

元来、遅発性ジスキネジア(TD)は高用量の第一世代抗精神病薬を長期間投与された統合失調症患者に見られる抗精神病薬の副作用と考えられていた。
明確な治療法もなく、治療困難な副作用であり、もしかしたら多くの精神科医にとってはあまり積極的にかかわろうとしてこなかった副作用であるかもしれない。
しかし、統合失調症だけでなく感情障害や神経症レベルの患者でも一定の割合でTDは発現しており、また誘因となる向精神薬もSSRIやBenzamide系の抗精神病薬、少量の第一世代抗精神病薬や第二世代抗精神病薬が珍しくなかった。社会適応が良好である患者については、TDに対する治療モチベーションが高い可能性がある。一方、TDに対する違和感が少ない方もおり、患者自らTDの症状を訴える頻度が低い場合がある。とくにコロナ禍のマスク着用下ではTD症状の見逃しには注意が必要である。
本講演では、実臨床下でValbenazineをいかに使用していくか、注意点等も含めて触れていきたいと考える。

NPネットワーク研究会 世話人 (敬称略 50音順)

【世話人一覧】

共同代表世話人
・内門 大丈(メモリーケアクリニック湘南) ・馬場 康彦(昭和大学藤が丘病院 脳神経内科)
副代表世話人
・井上 祥 (株式会社メディカルノート)
・水間 敦士(東海大学医学部内科学系神経内科学)
世話人
・笠貫 浩史(聖マリアンナ医科大学)
・川口 千佳子(せやクリニック)
・野本 宗孝(横浜市立大学医学部 精神医学教室)
・日暮 雅一(ほどがや脳神経外科クリニック 院長)
世話人兼・会計監査
・秦 光一郎 (株式会社メドベース)
・竹中 一真(株式会社メドベース)
顧問
・繁田 雅弘(東京慈恵会医科大学 精神医学講座 主任教授)
・瀧澤 俊也(神奈川リハビリテーション病院 脳神経センター長)
・菱本 明豊(神戸大学大学院医学研究科 精神医学分野 主任教授)
・水間 正澄(昭和大学 名誉教授)
・村山 繁雄(大阪大学非常勤特任教授)

名誉顧問
・小阪 憲司 (横浜市立大学 名誉教授)
【第36回N-Pネットワーク共催会社】
・ヤンセンファーマ株式会社