第9回N-Pネットワーク研究会
2016年12月13日(火) @ 横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ
2016年12月13日(火) @ 横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ
団塊の世代が後期高齢者となる2025年を控え、認知症患者は増加の一途をたどっている。横浜市、こと保土ヶ谷区は高齢者の割合が平均よりも高い。基幹病院認知症外来は、過飽和の状況で、診察時間や外来頻度を十分に確保することができない状況である。さらに車で病院まで通えなくなる患者さんも多く、このたび保土ヶ谷駅前でMRI完備した脳神経外科クリニックを開院した。
今回の発表では、当院の紹介とともに、どのような認知症診療を行っているかを、複数のケース報告として紹介する。症例は、MCIから初期認知症に属する変性疾患由来の狭義の認知症と、別の要因で発症している二次性認知症をいくつか報告する。また、神経薬理学での学位研究が、微小管やアクチンの重合蛋白質に関するものであり、アルツハイマー型認知症との報告も増えてきており、簡単に紹介したい。
高齢の運転者による死亡事故割合の増加、あるいは、認知症者が起こした事故について家族の損害賠償責任が問われ論議を呼んだ裁判例などを踏まえ、認知症者の医療に携わる皆さまがどのような紛争に巻き込まれる可能性があるか、紛争予防のための適切な対応について、ともに考えたいと思います。
1 民事責任と「責任能力」
未成年者や、精神上の障害で責任を弁識する能力を欠く状態で事故を起こした場合、誰がどのような損害賠償責任を負うのでしょうか。
2 認知症者による事故と損害賠償責任
JR東海鉄道事故の裁判例(最高裁平成28年3月1日判決)を題材に、認知症者の家族が損害賠償責任を問われる場合について検討します。
3 認知症と運転免許をめぐる医師の関わり
道路交通法では、「認知症であることが判明したとき」は免許の取消し・停止事由とされていますが(道交法第103条)、平成29年3月からは、免許更新時の認知機能検査(講習予備検査)で第1分類(認知症のおそれがある者)と判断された75歳以上の運転者に医師の診断が義務づけられます。
診断書の発行をめぐる問題や、日常診療の中で認知機能の低下や認知症の疑いをもった患者が自動車を運転していることを知った場合の対応などについて考えてみます。
4 交通事故の裁判例と医師の立場
自動車事故が発生した場合、被害者に対して損害賠償責任を負うのは運転者本人ですが、診療に関わっている医師はどのような立場にあるでしょうか。糖尿病による無自覚性低血糖での事故の裁判例(横浜地裁平成24年3月21日判決)や、てんかん発作での事故の裁判例(宇都宮地裁平成25年4月24日判決)を題材に、医師の説明・指導との関わりを検討します。
5 植え込み型除細動器(ICD)と自動車の運転
不整脈を原因とする失神(植え込み型除細動器やペースメーカーを植え込んでいる患者)と自動車運転との関わりについて、医師にはどのような説明・指導を求められるのでしょうか。
代表世話人
・内門 大丈
・馬場 康彦
副代表世話人
・井上 祥
・水間 敦士
・小阪 憲司(横浜市立大学 名誉教授)
・繁田 雅弘(首都大学東京 健康福祉学部 作業療法学科 教授)
・瀧澤 俊也(東海大学医学部 内科学系神経内科学 主任教授)
・平安 良雄(横浜市立大学大学院医学研究科精神医学部門 主任教授)
・水間 正澄(昭和大学 名誉教授)
・村山 繁雄(東京都健康長寿医療センター 神経内科 部長)
・ヤンセンファーマ株式会社