第43回N-Pネットワーク研究会
2025年6月13日(金)19:00~20:30
ホテルプラム 2階「Palais Royal」
2025年6月13日(金)19:00~20:30
ホテルプラム 2階「Palais Royal」
ほどがや脳神経外科クリニック 院長
本講演では、脳神経外科クリニックにおいての認知症外来・物忘れ外来の実際、およびアリ ドネ 1st の診療経験について、ご報告いたします。
脳神経外科クリニックは、MRI を有していることが多く、認知症のスティグマを気にする 方々が相談しやすい特徴があると感じております。正常から MCI レベルにおいては、自分 の脳に異変が起こっているのではないかと、脳の MRI から診療に入ってくる方々が多いと 感じています。 認知症診療における当院の立ち位置は、認知症疾患医療センターなどの大規模施設と、かか りつけ医やケア施設、入院のできる精神科病院などハブ的役割にあります。診察・家族問診・ 神経学的診察・各種心理スケール・MRI・採血などにより、身近で二次性認知症の除外や変 性疾患による認知症などの診断をすることで、周囲の施設の負担を減らしサポートしてい ます。 地域に根差し、脳卒中・てんかん・脊椎脊髄疾患などの併存症も、代診で専門医を擁して「脳 のかかりつけ医」として包括的なサービスを提供しています。来院できる方、あるいはオン ライン診療が可能な患者さんまでをみておりますが、施設入所への移行や、BPSD せん妄な どの急変時に連携強化している精神科病院へ紹介するなどのパイプも大切にしています。 アリドネは、胃の状態の影響をうけず、肝臓通過効果を避けることができる点で、メリット があると考え、当院では第一選択薬としています。皮膚のメンテナンス法習得や家族や薬ヘ ルパーの協力がえられれば継続率は高いと感じます。
金沢大学医薬保健研究域医学系 脳神経内科学 教授
認知症の基礎疾患として最も多いアルツハイマー型認知症の臨床症状は、近時記憶障害 で初発、時間や場所に関する見当識障害や実行機能障害、判断力の障害などが出現し、 言い繕いが目立つなどの特徴がある。画像上の特徴としては頭部 MRI での海馬萎縮や脳 血流 SPECT での後部帯状回・楔前部の血流低下などが挙げられる。日常診療で使用可能 な治療薬であるアセチルコリンエステラーゼ阻害薬と NMDA 受容体拮抗薬は症状改善薬 ではあるが、同じコリンエステラーゼ阻害薬でも構造式・結合様式が異なるためその使 い分けも注目されている。ドネペジルの貼付剤であるアリドネパッチはドネペジルのフ リー体を有効成分とする貼付剤であり、その薬物動態は経口剤と異なり、アリドネパッ チ 27.5mg は投与開始時に漸増不要である。 アルツハイマー型認知症の病理学的特徴としては、アミロイドβ蛋白(Aβ)から成る 老人斑、タウ蛋白(tau)から成る神経原線維変化、さらに神経細胞死があげられる。 なかでも病態生理においては、Aβが異常凝集して tau 病態と共に神経細胞を傷害する 過程が重要な役割を果たすと考えられている(アミロイド仮説)。このアミロイド仮説に基づいて、アミロイドPETや脳脊髄液のAβ42/ Aβ40比など のバイオマーカーが開発されるとともに、治療法に関しても抗 Aβ抗体を中心に様々な 根治的アプローチが開発されてきた。残念ながら多くは失敗に終わったが、最近、抗 A β抗体であるレカネマブやドナネマブが米国、そして本邦で正式承認され、実際の臨床 現場で使用可能となった。重大な副作用としてインフュージョンリアクションやアミロ イド関連画像異常(ARIA)に注意する必要がある。 本講演では、アルツハイマー型認知症の診断と治療の最前線を考察したい。
共同代表世話人
・内門 大丈(メモリーケアクリニック湘南)
・馬場 康彦(福岡大学医学部 脳神経内科学 主任教授)
副代表世話人
・井上 祥 (横浜市立大学 共創イノベーションセンター 特任准教授)
・水間 敦士(東海大学医学部内科学系神経内科学 准教授)
世話人
・笠貫 浩史(聖マリアンナ医科大学 神経精神科学教室 教授)
・野本 宗孝(横浜市立大学医学部 精神医学教室 講師)
・日暮 雅一(ほどがや脳神経外科クリニック 院長)
世話人兼・会計監査
・秦 光一郎(株式会社メドベース)
・竹中 一真(株式会社メドベース)
顧問
・浅見 剛(横浜市立大学医学部 精神医学教室 教授)
・小田原 俊成 先生(横浜市立大学精神医学教室 保健管理センター長)
・繁田 雅弘(東京慈恵会医科大学 名誉教授)
・高橋 雅道(東海大学医学部 脳神経外科 領域主任教授)
・瀧澤 俊也(神奈川リハビリテーション病院 脳神経センター長)
・菱本 明豊(神戸大学大学院医学研究科 精神医学分野 主任教授)
・水間 正澄(昭和大学 名誉教授)
・村山 繁雄(大阪大学非常勤特任教授)
名誉顧問
・小阪 憲司 (横浜市立大学 名誉教授)
【第43回N-Pネットワーク共催会社】
・興和株式会社