第40回N-Pネットワーク研究会

2024年9月13日(金)19:00〜20:20 形式:Teamsにて配信

Special Lecture I

座長:メモリーケアクリニック湘南 理事長・院長 横浜市立大学医学部 臨床教授 内門 大丈 先生


神経難病治療と就労の両立を目指す〜両立支援外来の重要性〜

萩原 悠太 先生

聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 脳神経内科 准教授

第40回N-Pネットワーク研究会

企業を対象としたアンケート調査(H25治療と職業生活の両立等支援対策事業)によれば、疾病を理由として1か月以上連続して休業している従業員がいる企業の割合は、年々高まっており、今後も疾病リスクを抱える労働者は増加してくることが見込まれている。このような背景から、疾病を抱えた労働者の治療と仕事の両立へ向けた取り組みが注目されている。治療と仕事の両立支援は、「働き方改革実行計画」(H29働き方改革実現会議)において重要なテーマの1つに位置づけられている。「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン(H28)」が策定され、事業場や医療機関における支援の取組みの促進が図られてきた。医療機関においては治療と仕事の両立支援の推進を図るため、平成30年度診療報酬改定にて、がん患者において「療養・就労 両立支援指導料」が新設された。令和2年度診療報酬改定では、対象疾患に神経難病を含む指定難病、脳血管疾患、肝疾患が追加され、令和4年度からは、若年性認知症、心疾患、糖尿病が追加された。社会情勢の変化や、医療施策変化に伴い、医療機関においても「治療と仕事の両立支援」が注目されている。
神経難病は、パーキンソン病・多発性硬化症・重症筋無力症などに代表されるように、就労世代での発症も多い。またその治療は、近年目覚ましく発展している。一方で神経疾患の治療を行いながら就労している患者への社会からの理解は、いまだ不十分であり、患者は不安を抱えながら就労していることが多い。こういった患者へ両立支援外来が介入し、主治医が就労について一緒に考えることで、患者だけではなく事業場の不安も解消され、安心して治療を受けながら就労を継続できることが期待できる。
今回は実際の事案も交えながら、両立支援外来での我々の取り組みに関して紹介する。

Special Lecture II

座長:東海大学医学部内科学系 脳神経内科 准教授 水間 敦士 先生


多発性硬化症診療の変遷と当科での取り組み

横田 優樹 先生

日本大学医学部附属板橋病院 脳神経内科 助教

第40回N-Pネットワーク研究会

多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)は若年層に多く発症する代表的な神経難病であり、本邦では約2万人が罹患している。無治療の場合、40歳代で歩行障害が顕著になり、50歳代で杖歩行、60歳代で車椅子生活に至るとされている。MSの病理学的概念がJean-Martin Charcot によって提唱され、1965年にMSの臨床定義が策定された。病因は依然として明らかになっていないが、インターフェロンβ1bが初の疾患修飾薬(disease-modifying drugs:DMD)として承認され、以降多くのDMDが使用可能となっている。治療戦略も大きく変化し、発症早期からhigh efficacy therapyを行うことの重要性が注目され、MSの予後は大きく改善した。本講演では、ここ10数年で明らかになったMSの病態と大きく変わったMS診療の変遷について解説し、MS診療の今後と当科での取り組みについてお話ししたいと思う。

NPネットワーク研究会 世話人 (敬称略 50音順)

【世話人一覧】

共同代表世話人
・内門 大丈(メモリーケアクリニック湘南)
・馬場 康彦(福岡大学医学部 脳神経内科学 主任教授)
副代表世話人
・井上 祥 (株式会社メディカルノート 代表取締役・共同創業者、大阪大学招聘准教授)
・水間 敦士(東海大学医学部内科学系神経内科学 准教授)
世話人
・笠貫 浩史(聖マリアンナ医科大学 神経精神科学教室 教授)
・野本 宗孝(横浜市立大学医学部 精神医学教室 講師)
・日暮 雅一(ほどがや脳神経外科クリニック 院長)
世話人兼・会計監査
・秦 光一郎(株式会社メドベース)
・竹中 一真(株式会社メドベース)
顧問
・浅見 剛(横浜市立大学医学部 精神医学教室 教授)
・繁田 雅弘(東京慈恵会医科大学 名誉教授)
・高橋 雅道(東海大学医学部 脳神経外科 領域主任教授)
・瀧澤 俊也(神奈川リハビリテーション病院 脳神経センター長)
・菱本 明豊(神戸大学大学院医学研究科 精神医学分野 主任教授)
・水間 正澄(昭和大学 名誉教授)
・村山 繁雄(大阪大学非常勤特任教授)
名誉顧問
・小阪 憲司 (横浜市立大学 名誉教授)
【第40回N-Pネットワーク共催会社】
・ノバルティス ファーマ株式会社