第33回N-Pネットワーク研究会
2022年 12月6日(火) 19:00~20:20 形式:WEB開催
2022年 12月6日(火) 19:00~20:20 形式:WEB開催
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター センター長
フレイルと認知症は加齢に伴い発症リスクが増大するため、今後、後期高齢者が増加する日本においてこれらの問題はさらに大きくなると考えられる。原因疾患に対する疾患修飾薬の完成が待たれるが、現時点でも実施可能な予防対策を推進していくことが、当事者や家族はもとより社会的な将来の負担を軽減するために必要である。
2020年度から後期高齢者を対象としたフレイル健診が開始され、高齢者の機能低下に関する質問調査が実施されている。回答内容は国保データベース(KDB)に収載され、今後は医療、健診、介護情報と質問調査の回答を連動することで、保健事業、医療機関受診、介護保険サービスへつなぎ、地域で高齢者を多面的に支えるシステムの構築を国は目指している。
この対策により、自覚症状がある高齢者については認知機能低下のスクリーニングが可能となるが、早期の段階の認知機能低下を捉えることができるかは不透明であり、認知症予防において十分な対策となるかは明らかではない。また、認知症予防のための健康行動を促進するためには、本人の予防へ向けた意思を高める必要がある。そのためには、客観的なデータに基づいたリスクの開示が重要であるが、残念ながら質問調査を客観的な資料として用いることには限界がある。今後は、デジタルツールを活用した認知症のリスク把握やバイオマーカーを活用して、客観的なデータに基づいたリスクの把握と結果のフィードバックがなされることで、認知症予防の取り組みが進むものと考えている。
なお、リスクが特定された場合に予防のためにすべき健康行動については、WHOのガイドライン等で明示されている。現状では複合リスクに対応するために多因子介入(運動、栄養、認知活動、生活習慣病管理等)が推奨されている。今後は効率的な予防活動の運用のために最小のパッケージプログラムの構築やテーラーメイド型プログラム作成システムの構築が必要であろう。
略歴:
2003年 北里大学大学院医療系研究科臨床医学リハビリテーション医学専攻博士課程卒
2003年 東京都老人総合研究所研究員
2005年 Prince of Wales Medical Research Institute客員研究員
2006年 東京都健康長寿医療センター研究員
2010年 国立長寿医療研究センター室長
2014年 国立長寿医療研究センター部長
2018年 国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター長
2015年 信州大学大学院総合医理工学研究科特任教授
2019年 同志社大学客員教授
専門分野:老年学、理学療法学
ほどがや脳神経外科クリニック 院長
伝統あるNPネットワークでの講演機会をいただき深謝いたします。今回小生の方からは、脳神経外科クリニックにおける頭痛外来について現状報告させていただきます。頭痛は、頭部に発生した異常を警告するシステムですが、異常がないのに定期的に頭痛に悩まされる患者さんは多くいます。頭痛外来の使命として、脳卒中などの二次性頭痛の鑑別と、一次性頭痛の鑑別と診断・治療があります。効率の良い診療の流れを提示するとともに、今回は片頭痛の治療に焦点をあててお話いたします。片頭痛の病態、生活支障、経済損失について、また昨年4月に本邦で発売されたガルカネズマブ(エムガルティ)および本年8月に発売されたラスミジタン(レイボー)について、一般的エビデンスと当院での経験をお示しいたします。また、頭痛管理が悪い状態があたりまえと思って生活し、適切な医療をうけられていない患者さんも相当数伏在していると考えられており、その救済のための啓発、診診連携についてもお話いたします。
共同代表世話人
・内門 大丈(メモリーケアクリニック湘南)
・馬場 康彦(昭和大学藤が丘病院 脳神経内科)
副代表世話人
・井上 祥 (株式会社メディカルノート)
・水間 敦士(東海大学医学部内科学系神経内科学)
世話人
・笠貫 浩史(聖マリアンナ医科大学)
・川口 千佳子(せやクリニック)
・野本 宗孝(横浜市立大学附属市民総合医療センター 精神医療センター)
・日暮 雅一(ほどがや脳神経外科クリニック 院長)
世話人兼・会計監査
・加藤 博明(株式会社メドベース)
・竹中 一真(株式会社メドベース)
顧問
・小阪 憲司(横浜市立大学 名誉教授)
・繁田 雅弘(東京慈恵会医科大学 精神医学講座 主任教授)
・瀧澤 俊也(神奈川リハビリテーション病院 脳神経センター長)
・菱本 明豊(横浜市立大学大学院医学研究科 精神医学部門 主任教授)
・水間 正澄(昭和大学 名誉教授)
・村山 繁雄(大阪大学非常勤特任教授)
【第33回N-Pネットワーク共催会社】
・第一三共 株式会社