第31回N-Pネットワーク研究会

2022年 6月7日(火)19:00~20:20 形式:Zoom

うつ病と性差

村尾 朋彦 先生

医療法人社団 静和会 ゆたかクリニック

第31回N-Pネットワーク研究会

現代の医療においては、患者の個別性に配慮したテーラーメイドの治療が求められている。症例を、疾患群・年齢・性別などでカテゴライズして、テーラーメイドの治療法を検討する。その中で気分障害の性差において、月経前症候群(PMS)/月経前不快気分障害(PMDD)が、性別によって特異的である。
PMSおよびPMDDの正確な診断と治療には、女性ホルモンの動態と診断基準の変遷を把握する必要がある。DSM-Ⅲ-Rに黄体期後期の不快気分障害として登場し、月経前の精神症状により重きが置かれた。
DSM-5になると、「(診断基準に合致する症状は)先行する1年間のほとんどの月経周期で満たさなければならない」と注釈が記載された。これは併存疾患や鑑別疾患を考えるうえで肝要と思われる。
治療に関しては、症状が強いほど、薬物療法が治療の中心的な位置を占める。
精神科領域では主に抑うつ気分・状態に対しSSRIの間欠療法(黄体期のみの服用)が推奨されるが、月経が不規則である場合や、間欠療法で効果が不十分の場合には、継続療法を行う。

パーキンソン病の治療的アプローチを考える

小野 賢二郎 先生

金沢大学大学院 医薬保健学総合研究科 脳神経内科学 教授

第31回N-Pネットワーク研究会

Parkinson病(PD)の病理学的特徴であるLewy小体の主要構成成分であるαシヌクレイン蛋白(α-synuclein: αS)は、アルツハイマー病でのアミロイドβ蛋白(amyloid β-protein: Aβ)やタウ蛋白と同様に線維状に凝集・沈着して神経細胞が傷害されると考えられている。従来、レビー小体として蓄積するαS線維が神経毒性を発揮すると考えられていたが、オリゴマーやプロトフィブリルといった早期・中間凝集体のより強い毒性に注目が集まっている。
 我々は、脳内で上昇する腸内微生物叢由来フェノール性代謝産物である3-ヒドロキシ安息香酸(3-HBA)、3,4-ジヒドロキシ安息香酸(3,4-diHBA)、3-(3´-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸(3-HPPA)がinvitroでαSオリゴマー化を抑制することを報告した。
 本講演では、我々の報告も含めて、αS凝集に焦点を当てた疾患修飾へのアプローチを考える。

NPネットワーク研究会 世話人 (敬称略 50音順)

【世話人一覧】

共同代表世話人
・内門 大丈(メモリーケアクリニック湘南) ・馬場 康彦(昭和大学藤が丘病院 脳神経内科)
副代表世話人
・井上 祥 (株式会社メディカルノート)
・水間 敦士(東海大学医学部内科学系神経内科学)
世話人
・笠貫 浩史(聖マリアンナ医科大学)
・川口 千佳子(せやクリニック)
・野本 宗孝(横浜市立大学附属市民総合医療センター 精神医療センター)
世話人兼・会計監査
・加藤 博明(株式会社メドベース)
・竹中 一真(株式会社メドベース)
顧問
・小阪 憲司(横浜市立大学 名誉教授)
・繁田 雅弘(東京慈恵会医科大学 精神医学講座 主任教授)
・瀧澤 俊也(東海大学医学部付属大磯病院 神経内科 特任教授)
・菱本 明豊(横浜市立大学大学院医学研究科 精神医学部門 主任教授)
・水間 正澄(昭和大学 名誉教授)
・村山 繁雄(大阪大学非常勤特任教授)

【第31回N-Pネットワーク共催会社】
・武田薬品工業株式会社