第28回N-Pネットワーク研究会
2021年9月14日(火)19:00〜 形式:Teams
2021年9月14日(火)19:00〜 形式:Teams
横浜市立大学附属市⺠総合医療センター 脳神経内科 横浜市立大学大学院医学研究科 神経内科学・脳卒中医学
木村 活生,岸田 日帯,上田 直久,田中 章景
パーキンソン病(PD)は無動・筋強剛・振戦といった運動症状を主体に,様々な非運動症状も有する、進行性の神経変性疾患である。PD の診断に至り、薬物治療が開始された時点では、運動症状に対する薬物反応性は極めて高く、ハネムーン期と呼ばれる。
しかし疾患進行に伴い、徐々に薬物効果の持続時間が短縮するウェアリング・オフやジスキネジアなどの運動合併症が現れ、内服薬や服薬タイミングの調整が必要となる。しかしながら薬剤調整を行っても症状が安定せず、対応に苦慮する場合もある。こうした薬物治療抵抗性の運動合併症治療に有効であるのが脳深部刺激療法(DBS)やL-ドパ持続経腸療法(LCIG)などのデバイス補助療法(DAT)である。DBSは機能不全に陥った神経ネットワークに作用し、過活動になった神経伝達を整え神経ネットワークの働きをスムーズに整えることにより症状が改善するとされる。そのためドパ反応性が十分保たれ、認知症や精神症状を有しないといった、ドパミン系以外の神経ネットワークの障害が少ない状態など、適応好適時期が限られる。LCIGは持続的に薬物の腸管内投与を行うことで薬物吸収をできるだけ平坦化し、治療効果を一定に保つことで症状変動を少なくすることを目標とする。毎日の手技が必要になるほか、薬物の保管などにも配慮が必要である。これらDATは一律に語られることが多いが、それぞれ治療内容は異なり、好適患者像や得られる効果は異なる。それぞれの治療の内容や効果を十分把握し、症例ごとに問題となっている症状や治療目標を明確にし、適応する治療を決定する必要がある。またDATは導入完了の時点があらたな治療のスタートラインであり、導入後も薬物や刺激プログラムの調整など、長期に亘った管理が必要となる。DAT導入へは患者・家族のみならず医療者にとっても大きなハードルがあるが、得られる効果は大きく、価値ある治療選択肢である。
本講演では DAT 導入時の注意点、長期的な管理に関して重要な点について述べる。
日本医科大学 脳神経内科
【抄録本文】
「リンパ組織の存在しない中枢神経系でなぜ免疫疾患が発生するのか」。
この疑問を解決するために神経疾患、精神疾患の病態について免疫学的観点からの研究成果がこれまでに蓄積されてきた。
本講演では
1) 免疫を介した神経疾患、精神疾患の理解: 精神症状の出現に関与している自己抗体の存在を鍵として神経疾患、精神疾患を捉え直す研究が近年数多く報告されている。
2) 多発性硬化症: 中枢神経系の炎症性疾患の代表的存在であるが、免疫学的解析、そしてそこから新しい治療手段が生まれている。
3) (免疫学的視点から見た)パーキンソン病: 神経変性疾患の代表的存在であるが、その病態に免疫・炎症の関与があるのか、注目されている。
4) (神経免疫疾患としての)中枢神経系原発悪性リンパ腫: 病態を反映したバイオマーカーとして炎症・免疫に関連する諸分子の髄液における上昇が報告されているが、そこに本当の免疫病態はあるのか。
5) これから治療標的となるもの: 治療標的となり得る新しい分子を理解しておくことは重要である。さらに近年、中枢神経系におけるグリンパティック系の存在がヒトにおいて確認された。
を概説し、神経疾患、精神疾患の基礎研究あるいは診断・治療に関する研究において新しい着眼点の必要性に言及したい。
共同代表世話人
・内門 大丈(湘南いなほクリニック)
・馬場 康彦(昭和大学藤が丘病院 脳神経内科)
副代表世話人
・井上 祥 (株式会社メディカルノート)
・水間 敦士(東海大学医学部内科学系神経内科学)
世話人
・笠貫 浩史(聖マリアンナ医科大学)
・川口 千佳子(せやクリニック)
・杉谷 雅人(総合相模更生病院 脳神経外科)
・野本 宗孝(横浜市立大学附属市民総合医療センター 精神医療センター)
世話人兼・会計監査
・加藤 博明(株式会社メドベース)
・竹中 一真(株式会社メドベース)
顧問
・小阪 憲司(横浜市立大学 名誉教授)
・繁田 雅弘(東京慈恵会医科大学 精神医学講座 主任教授)
・瀧澤 俊也(東海大学医学部付属大磯病院 神経内科 特任教授)
・菱本 明豊(横浜市立大学大学院医学研究科 精神医学部門 主任教授)
・水間 正澄(昭和大学 名誉教授)
・村山 繁雄(大阪大学非常勤特任教授)
【第28回N-Pネットワーク共催会社】
・ノバルティスファーマ株式会社