第26回N-Pネットワーク研究会
201年3月16日(火) 形式:WEB開催
201年3月16日(火) 形式:WEB開催
徳島大学 大学院医歯薬学研究部
臨床神経科学分野(脳神経内科)
パーキンソン病は、寡動、安静時振戦、筋固縮に特徴付けられる、緩徐進行性の神経変性疾患である。その主たる背景病理として、レビー小体形成を伴う中脳黒質緻密部のドパミン産生細胞の変性脱落が同定されている。脳内のドパミン不足により上記症候が認められることから、ドパミンの前駆物質であるレボドパ投与がパーキンソン病治療戦略の中心と考えられている。レボドパは単独で投与されると、血液内でレボドパ脱炭酸酵素 (DDC)とカテコール-O-メチル基転移酵素 (COMT)により代謝されるため、脳内へ移行するレボドパ量は極めて少量となる。この代謝を阻害し、脳内へ移行するレボドパ量を増やすために、DDC阻害薬であるベンセラジドとカルビドパがレボドパ合剤に含有されている。COMT阻害薬はレボドパ合剤には含まれず、進行期にエンタカポン、あるいはオピカポンとして進行期治療の一つの選択肢として使用されている。ドパミン産生細胞の変性脱落を評価する方法は、黒質緻密部の神経細胞体自体をターゲットとしたT2*、neuromelanin imaging、そして線条体の神経終末をターゲットとしたdopamine transporter imagingなどがある。それら神経画像の実際の臨床応用に関して概説するとともに、脳内ドパミン不足により起こる線条体のstriatal projection neurons (SPN)の変化、その先にある脳全体におけるネットワークレベルでの異常についても述べていきたい。
東京慈恵会医科大学精神医学講座
本邦では「共生」の概念について、仏教学や、哲学、社会学、社会福祉学など様々の領域で議論されてきた。それを概観することは、認知症の人や障害者との「共生」の医療や福祉について考えるヒントになると考えられる。例えば、共生とは自立(自律)と個性を尊重した関係であって予定調和ではないこと(高田 1995)、障害者が健常者と同等に生活することが障害を克服することではないこと、それはそれぞれの人の生き方の問題が含まれていないからであること(福島 1998)などの議論があった。別の観点として、安易に「共生」を乱用することは、回避困難な矛盾・対立・緊張をはらんだ関係にある者が、それらの克服を目指すことをやめ、共生の一語で問題が解決したかのうように感じてしまう危険があること(小内 1999)、それでは健常者同士も、障害者同士も、共に生きることに成功しているとはいえないこと(福島 1998)などの指摘も重要と考えられる。そして、障害のある人とない人が“活動を共にするすること”が「共生」ではなく、障害があってもなくても、認知症があってもなくても、それぞれの人が自分の個性や強みや生き甲斐にそって、自分を生かしながら生きていくことが真の共生といえるのではないかと考える。また、他者との関係について差異を差異として認めて許容することの重要性も指摘されている.同質性と異質性が錯綜したなかでの共存を目指すべきであるとする考えである(三重野 2000)。そもそも個々の利害は一致しないものである。そのことを認め合った上で、互いの利益追求の自由を認める関係が望ましいという考えである(松田 2000)。利害と価値観を異にし、多様な生き方を実践する人々が、対立し、論争することがあってもよく、それよって関係がより多面的で豊かになるのが「共生」(井上 2000)という考えである。こうした議論は多くの示唆をわれわれに与えてくれる。
これからの医療福祉の現場においては、上記のような共生を目指した認知症の人や家族や介護者との面接が必要になってきているのではないか。今回は、拙著(繁田雅弘.認知症の精神療法 アルツハイマー型認知症の人との対話.HOUSE出版,2020年)などを題材に、認知症の人との望ましい面接のあり方ついて考えたい。
共同代表世話人
・内門 大丈(湘南いなほクリニック)
・馬場 康彦(昭和大学藤が丘病院 脳神経内科)
副代表世話人
・井上 祥 (株式会社メディカルノート)
・水間 敦士(東海大学医学部内科学系神経内科学)
世話人
・笠貫 浩史(聖マリアンナ医科大学)
・川口 千佳子(せやクリニック)
・杉谷 雅人(総合相模更生病院 脳神経外科)
・野本 宗孝(横浜市立大学附属市民総合医療センター 精神医療センター)
世話人兼・会計監査
・加藤 博明(株式会社メドベース)
・竹中 一真(株式会社メドベース)
顧問
・小阪 憲司(横浜市立大学 名誉教授)
・繁田 雅弘(東京慈恵会医科大学 精神医学講座 主任教授)
・瀧澤 俊也(東海大学医学部 内科学系神経内科学 主任教授)
・水間 正澄(昭和大学 名誉教授)
・村山 繁雄(大阪大学非常勤特任教授)
【第26回N-Pネットワーク共催会社】
・小野薬品工業株式会社