第23回N-Pネットワーク研究会

2020年7月22日(火) @ 形式:リモート開催 使用ソフトウェアzoom (配信会場:横浜ホテルプラム)

インフォデミック時代の医療情報発信 パーキンソン病やCOVID-19における発信を通して

井上 祥 先生

株式会社メディカルノート代表取締役・共同創業者/医師・医学博士

第23回N-Pネットワーク研究会

メディカルノートは「医師と患者をつなぐ」を創業時からの理念としており、2020年7月現在、2300名超の臨床・教育・研究の第一線で活躍する医師や専門家の協力のもと、最新のエビデンスや臨床経験に基づいた信頼できる情報をhttps://medicalnote.jp/上で発信している。神経疾患においても例えば「パーキンソン病」とYahoo!検索をすると最上位に表示される設定となっており、ウェアリング・オフなどの「症状」をパーキンソン病患者に啓発するウェブサイトとの連携も行ってきた。
この新型コロナウイルス感染症禍においても特設サイトを開設し、各医師会・各学会と連携の上で高齢者や糖尿病・がん・リウマチなど基礎疾患を抱えるユーザーに対して積極的な情報発信を行ってきた。新型コロナウイルス感染症の関連記事は、現在までに約40記事を公開し、累計約 1400 万人超のユーザーにご覧いただいた。
インターネットにおける新型コロナウイルス感染症の情報はまさにインフォデミックと言える状況である。インフォでミックとは、2020年4月6日の日本経済新聞によれば「ネットで噂やデマも含めて大量の情報が氾濫し、現実社会に影響を及ぼす現象のこと」を指す。今回、このような状況を解決するためメディカルノートでは新たにGoogleとの提携もスタートした。Googleの検索ワードには様々なユーザーニーズや背景が反映されている。そのようなニーズにどう応えていくのかは日常において医療情報を発信する上でも示唆に富んでいるものと考えられる。

「With COVID-19時代におけるパーキンソン病診療」

馬場 康彦

昭和大学藤が丘病院 脳神経内科

第23回N-Pネットワーク研究会

全世界におけるSevere acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2)の感染者数は1460万人に達し、60万人以上の死亡者数が確認されている (2020年7月21日現在)。SARS-CoV-2感染により発症するcoronavirus disease 2019 (COVID-19)は医療のみならず社会経済に大きな混乱を招いており、収束の目途が立たない状況において、これまでの生活様式を脱し新たな社会生活の在り方を模索するとともに医療の実践様式も大きな転換を求められる可能性がある。
COVID-19では呼吸器症状に加えて中枢から末梢の神経障害に伴う様々な症状を併発することがあり、脳卒中、脳炎、脱髄疾患、ギラン・バレー症候群などの続発症が報告されている。COVID-19がパーキンソン病 (PD)をはじめとする神経変性疾患の発症に関与するかは現時点では不明であるが、SARS-CoV-2感染により神経細胞死に続く神経変性が惹起されることや、ドパミン代謝に影響を及ぼすことが認められている。PDでは運動機能の障害に加えて意欲や関心の低下などにより発症時からソーシャルディスタンスと成らざるを得ない状況に置かれることが多いが、今回のCOVID-19の外出制限措置によりPD患者の社会活動がより一層制限されることになり、フレイル・サルコペニアの合併に伴う転倒・骨折、免疫力低下、生活習慣病の悪化、認知機能の低下など様々な健康二次被害を来す可能性が危惧され、これらの予防のためには多面的な早期の介入が求められる。
本講演ではCOVID-19に伴うPD患者への影響や薬物治療を含めた診療の在り方について自験例を交えて解説する。
また、現在のパンデミックと通信システムの発達に伴う神経内科診療の今後の展望について論じたい。

NPネットワーク研究会 世話人 (敬称略 50音順)

【世話人一覧】

共同代表世話人
・内門 大丈(湘南いなほクリニック)
・馬場 康彦(昭和大学藤が丘病院 脳神経内科)
副代表世話人
・井上 祥 (株式会社メディカルノート)
・水間 敦士(東海大学医学部内科学系神経内科学)
世話人
・笠貫 浩史(聖マリアンナ医科大学)
・川口 千佳子(せやクリニック)
・杉谷 雅人(総合相模更生病院 脳神経外科)
・野本 宗孝(横浜市立大学附属市民総合医療センター 精神医療センター)
世話人兼・会計監査
・加藤 博明(株式会社メドベース)
・竹中 一真(株式会社メドベース)
顧問
・小阪 憲司(横浜市立大学 名誉教授)
・繁田 雅弘(東京慈恵会医科大学 精神医学講座 主任教授)
・瀧澤 俊也(東海大学医学部 内科学系神経内科学 主任教授)
・水間 正澄(昭和大学 名誉教授)
・村山 繁雄(東京都健康長寿医療センター 神経内科 部長)
【第23回N-Pネットワーク共催会社】
・エーザイ株式会社