第20回N-Pネットワーク研究会
2019年9月17日(火)@ ホテルプラム
2019年9月17日(火)@ ホテルプラム
地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所 神経病理研究部門
超高齢化に伴い、認知症の患者数は増大し続けており、本邦おける認知症患者数は 2025年に700万人に達すると予測されている。認知症の病態解明および根本治療薬の開発は急務であるが、未だ開発途上である。近年、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease; AD)は、脳のAD病変を反映するバイオマーカーの進歩の結果、preclinical期、Mild Cognitive Impairment(MCI)期ないし前駆期、認知症期の3つの段階に分類されるようになり、preclinical期および前駆期における介入の必要性が指摘されている。欧米では、家族性アルツハイマー病(Alzheimer’s disease; AD)家系内の未発症者に対して、アミロイドPET等でスクリーニングを行い、preclinical期に抗Aβ抗体などを用いた治療介入を試みるDIAN(Dominantly Inherited Alzheimerʼs Network)研究などが進んでおり、日本にも導入され始めている。
ADやレビー小体型認知症と並んで4大認知症の一つである前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia, FTD)では、近年タウやTDP-43、FUSなどの蓄積蛋白が解明され、分子生物学的研究が飛躍的に進歩し、欧米では大規模な介入研究が開始されている。しかし、いまだバイオマーカーやMCI期、前駆期の症状は明らかになっていない。我々は、FTDの前駆期(発症後2年以内)における臨床症候を明らかにするため、病理診断が明らかな症例に対し、後方視的に精神症候の抽出を行い、病理診断別に比較検討を行なった。本研究によって、臨床診断基準に含まれない新規の症候が認められることが判明し、加えて、病理診断別のFTD前駆期における臨床像が明らかになり、蓄積蛋白に基づいた病態修飾薬の早期介入に繋がる有意義な結果が得られた。当日は認知症の代表疾患であるADやFTDをはじめとする前駆期の臨床症候や関連する治療薬を概説するとともに、最近の我々の研究成果を紹介したい。
株式会社 芸術造形研究所 取締役
「人は生まれながらにして、誰もが芸術家である。」
認知症ケアとしての「臨床美術」を考案した彫刻家・金子健二の言葉である。
金子は本来アートとは、年齢や性別、美術経験の有無の関係なく、だれもが表現する喜びを享受できるという理念を持っていた。
1996年に脳神経外科医の木村伸との出会いがあり、彫刻家の金子健二、認知症家族の心のケアを目的にしたファミリーケアーアドバイザーの関根一夫(牧師)の三者が協力しあうことで、大宮市医師会市民病院で始まった。臨床美術は、創作活動を楽しみながら作品を作ることで、認知症の予防・症状の改善を願って開発された芸術療法(アートセラピー)である。
今回の発表では臨床美術の特徴を具体的に説明しながら、認知症の方の作品を紹介して、誰もが豊かな感性のある表現ができることを伝えたい。また簡単な制作体験を通して、表現する楽しさを実感していただきたい。
【共同代表世話人】
・内門 大丈(湘南いなほクリニック)
・馬場 康彦(昭和大学藤が丘病院 脳神経内科)
【副代表世話人】
・井上 祥 (株式会社メディカルノート)
・水間 敦士(東海大学医学部内科学系神経内科学)
【世話人】
・笠貫 浩史(順天堂東京江東高齢者医療センター)
・川口 千佳子(せやクリニック)
・杉谷 雅人(相模原協同病院 総合内科)
・野本 宗孝(横浜市立大学附属市民総合医療センター 精神医療センター)
【世話人兼・会計監査】
・加藤 博明(株式会社メドベース)
・竹中 一真(株式会社メドベース)
・小阪 憲司(横浜市立大学 名誉教授)
・繁田 雅弘(東京慈恵会医科大学 精神医学講座 主任教授)
・瀧澤 俊也(東海大学医学部 内科学系神経内科学 主任教授)
・平安 良雄(横浜市立大学 精神医学教室 主任教授)
・水間 正澄(昭和大学 名誉教授)
・村山 繁雄(東京都健康長寿医療センター 神経内科 部長)
・武田薬品工業株式会社