第19回N-Pネットワーク研究会

2019年6月4日(火)@ ホテルプラム

「認知症におけるインターネット医療情報発信のポイント」

井上 祥

株式会社メディカルノート

第19回N-Pネットワーク研究会

現代の医療における情報源の主役はインターネットである。2015年のGoogleの発表によれば、検索処理にかけられている医療関連ワードは1日におよそ1.5億である。また、2017年の横浜市の調査では50%を超える市民が大きな手術を受ける際にインターネットによる情報を参考にして病院を選択しているとされている。この調査では雑誌・書籍はわずか3%程度に留まっている。ここ数年の急速な進歩はスマートフォンである。これからさらにインターネットにおける医療情報は存在感を増すであろう。
また、日本における認知症を持つ高齢者は2012年の時点で462万人といわれている。これは高齢者の7人に1人にあたる。そして2025年には、認知症の高齢者は730万人、実に5人に1人になると予測されている。増加する認知症に対しての情報発信の主役もまたインターネットになるのではないだろうか。
メディカルノート(https://medicalnote.jp/)はYahoo!検索との提携をしており、Yahoo!で「認知症」など病名検索をするとメディカルノートが一部のがんを除いて最上位に表示される。2019年5月時点で月間1000-2000万程度のユーザーを持つ日本最大級の医療情報ウェブサイトである。病院だけでなく学会や自治体との連携も積極的に行いながらこれまで1800名を超える医師と共に医療情報発信に取り組んできた。今回の一般演題では「認知症の啓発活動」だけでなく、医療におけるアウトリーチ/広報活動においても重要になるインターネットによる医療情報発信について、メディカルノートを立ち上げた経験を基にそのポイントについて概説する。

「社会的共通資本としての認知症医療」

占部 まり

宇沢国際学館  取締役

第19回N-Pネットワーク研究会

超高齢多死社会を全世界の先陣を切って迎えた日本。医療技術の革新、AIの実用化なども加わり大きな転換期を迎えている。医療はなんのために存在するのか、もう一度問い直す必要がある。豊かな社会を構築するのに欠かせないものを社会的共通資本として捉え、それを市場原理主義から遠ざける必要があると説いた経済学者宇沢弘文。経済学に“人間の心”を取り組み先進的な理論を構築した。社会的共通資本は大きく、自然資本、社会的インフラストラクチャー、制度資本の3つに分類される。制度資本に含まれる医療を社会的共通資本という視点から考える意義は大きい。社会的共通資本の考え方を紹介しながら、医療の本質を捉え、認知症医療をどのように捉えていくか、考えてみたい態を総合内科医の立場から考えると共に、歯科大学の教員の立場から歯科口腔からみる認知症性疾患についても話題を広げたく思う。

参考文献
宇沢弘文『社会的共通資本』 岩波新書 2000
宇沢弘文『人間の経済』 新潮新書 2017
宇沢弘文編『社会的共通資本としての医療』 東大出版会 2010

NPネットワーク研究会 世話人  (敬称略 50音順)

【共同代表世話人】
・内門 大丈(湘南いなほクリニック)
・馬場 康彦(昭和大学藤が丘病院 脳神経内科)
【副代表世話人】
・井上 祥 (株式会社メディカルノート)
・水間 敦士(東海大学医学部内科学系神経内科学)
【世話人】
・川口 千佳子(せやクリニック
・杉谷 雅人(相模原協同病院 総合内科)
・野本 宗孝(横浜市立大学医学部 精神科)
【世話人兼・会計監査】
・加藤 博明(株式会社メドベース)
・竹中 一真(株式会社メドベース)

【顧問】

・小阪 憲司(横浜市立大学 名誉教授)
・繁田 雅弘(東京慈恵会医科大学 精神医学講座 主任教授)
・瀧澤 俊也(東海大学医学部 内科学系神経内科学 主任教授)
・平安 良雄(横浜市立大学 精神医学教室 主任教授)
・水間 正澄(昭和大学 名誉教授)
・村山 繁雄(東京都健康長寿医療センター 神経内科 部長)

【第19回N-Pネットワーク共催会社】

・ヤンセンファーマ株式会社