第10回N-Pネットワーク研究会

2017年3月21日(火) @ ホテル横浜キャメロットジャパン

『認知症を伴うパーキンソン病の臨床』

横浜市立大学医学部 神経内科学・脳卒中医学 助教 上木英人先生

第10回N-Pネットワーク研究会

パーキンソン病(以下、PD)は、人口10万人あたり100~150人(1000人あたり1~1.5人)くらい、60歳以上では100人に約1人の有病率と言われており、今後さらなる高齢化の進行と共に増加することが予想される。 James Parkinsonの原典ではPDに認知症は合併しないと記載されているが、近年の医療レベルの向上、平均寿命の向上と並行して、PDにも高率に認知症が合併することが明らかとなり、PD診断後12年で60%に、20年で80%に認知症がみられるとの報告がある。 PDにおいて認知症の合併は予後規定因子となっており、認知症を早期に予測することができれば、将来的にはPDのQOL維持に寄与できる可能性もある。 ここでは認知症を伴うPDの症例を紹介し、実際の臨床上の問題や最近の話題について触れることとする。

『認知症の治療と地域連携~認知症ちえのわnetを含めて~』

大阪大学大学院医学系研究科 精神医学教室 吉山顕次

認知症の症状は、認知機能障害と行動・心理症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia: BPSD)に分けることが出来る。アルツハイマー型認知症に関して、認知機能障害に対する治療薬として、コリンエステラーゼ阻害薬のガランタミン、ドネペジル、リバスチグミンや、メマンチンが本邦では用いられている。BPSDの治療について、第一選択は非薬物療法である。次に薬物療法が選択されるが、認知症患者は高齢者が多いため、使用する薬物の種類や量には注意が必要である。非薬物療法には、いわゆる対応も含まれる。この対応については、RCTを行うことは難しく、そのためにこの効果を検証するため、われわれは集合知を正答とする立場をとる“認知症ちえのわnet”というインターネットサイトを構築した。

このサイトは、
①利用者が行った対応(ケア体験)をうまくいったかどうかを含め投稿してもらう
②ケア体験を蓄積し、実践してもらい、うまくいったかどうかを投稿してもらう
③結果を集計し、対応法毎に奏効確率を計算していき、利用者に還元する、という仕組みである。
この“認知症ちえのわnet”を利用することで、介護の地域格差がなくなる事が期待出来、また介護者の孤立を防ぐことも期待出来る。

【世話人会(敬称略、五十音順)】

代表世話人
・内門 大丈
・馬場 康彦
副代表世話人
・井上 祥
・水間 敦士

世話人
・杉谷 雅人
・野本 宗孝
・向井 雅子

【顧問(敬称略、五十音順)】

・小阪 憲司(横浜市立大学 名誉教授)
・繁田 雅弘(首都大学東京 健康福祉学部 作業療法学科 教授)
・瀧澤 俊也(東海大学医学部 内科学系神経内科学 主任教授)
・平安 良雄(横浜市立大学大学院医学研究科精神医学部門 主任教授)
・水間 正澄(昭和大学 名誉教授)
・村山 繁雄(東京都健康長寿医療センター 神経内科 部長)

【第10回N-Pネットワーク研究会2017 spring共催会社】

・武田薬品工業株式会社